調整区域の家を売却や購入する時のリスクや注意点は?
市街化調整区域では建築物を簡単に建てられないようになっているものの、
すでに建築されている家については、
売却したり購入することは自由にできます。
市街化区域にはないのどかな環境や比較的
ゆったりとした土地の広さを手に入れられるなど、
いいところもある反面で、
調整区域では、下水道が整備されていないなど、
生活する上で不便さやリスクも伴います。
実際に、調整区域内で売買された事例を踏まえて、
意外と知られていないリスクについて注意点を紹介していきます。
調整区域内の家を売却するときや購入する時の注意点に再建築が可能かどうかを確認すること
調整区域内で家を購入するときに注意しなければならないことには、
家を購入した人が、
家が老朽化したり、
火災や地震などに遭遇したときに
家を解体して建て替えることができるかどうかには
注意を払う必要があります。
調整区域の土地には
- 誰でも家をたてることができる土地
- 調整区域内に一定の期間(20年など)住んでいないと建築できない土地
- 基本的に建物は建築できない、特定の限られた人しか建てられない土地
に分類することができます。
1の「誰でも家を建てられる土地」
に建っていた家を購入するときには、
いつでも誰でも、どんなときでも
再建築できるので問題ありません。
2の調整区域内に20年以上住んでいるか、20年以上住んでいる人の
親族だけが家を建てられるような場合には、
仮に、築1年の家を買った場合に、住み始めて
20年経過する前に
万が一家が燃えてしまった場合には、
再建築できなくなるリスクがかくれています。
3の場合は、基本的に、再建築不可ということになります。
調整区域内にある家を売却する時には、
売主としては、しっかりと再建築できるかどうかは
説明しておく責任があります。
購入する側は、再建築できるか、条件付きで再建築できるか
永遠に再建築できないかを見極める必要がでてきます。
特に、住宅ローンを利用する人なら、
再建築できない物件については融資が行われないので、
被害がおきないでしょうけれども、
現金で購入した人は、銀行のチェックが入らない点にも
注意をしておきたいです。
調整区域では下水道は整備されない!排水に注意
調整区域では原則として下水道が整備される予定はありません。
かといって今どき、ぼっとん便所で汲み取り式の
トイレを利用する時代でもありません。
大抵の家は、浄化槽を利用して、排水をある程度は
綺麗にした上で汚水を放流することになります。
排水先として多いのは、前面道路の側溝や
土地の隣接する川となります。
家がまばらな場所ならいいのですけれども、
ある程度家が建っている調整区域になると、
沢山の家から流れてくる排水の悪臭が
側溝や川から上がってきます。
冬などの寒い時期には気が付かないのですが、
真夏の暑い時期は集落一帯に悪臭が立ち込めるということになります。
調整区域でも農業集落排水や集中浄化槽が
整備されているところは問題ないですが、
側溝や川へ排水する方式の場合には、
真夏は悪臭が出てくるリスクを想定しておきたいところです。
戸建てから直接、他人の農地に排水が流れていない?
不動産会社が物件の調査をするときに排水先がどこになっているのかを
確認しています。
調整区域では周辺に田や畑などの農地が多いために
戸建ての敷地内からの排水先が隣接する
他人の田んぼであったりすることも一度目にしたことがあります。
排水を流される農地の所有者からすれば、
家庭用排水が流れ込むのは迷惑な話です。
トラブルの原因になるので隣接する農地へ
排水されていないかはよく確認しましょう。
調整区域の分家住宅を購入するときは水道管の引き込みに注意
調整区域では家は簡単に建てられことになっていますけれども、
例外的に、農家の子供が家をたてるのは比較的簡単になっています。
そして、分家住宅を建てる時、実家に隣接する土地に
家を建てることが多いです。
調整区域内では道路に上水道管が必ずしもきているとは限りません。
農家の子供の家に水道を引くときに、
親の家の上水道管から分岐させて、
水道を引き込む工事がされることがあります。
その後、どちらか一方が売りに出たりすると、
水道管が他人の家を通過することになってしまいます。
親子であれば許されたことが、
赤の他人となると話が違ってきます。
分家住宅として建築された家を買う時には、
水道管を引き直す工事が必要になる場合もあります。
売る側としても、水道管が他人の敷地を経由して
いることを説明する責任がでてきます。
不動産屋が説明し忘れたりすると、
後で訴えられるリスクもあるというわけです。
上水道が井戸水の集落は上水道が引けるかを確認
調整区域では上水道の引き込みが前面道路からすんなりと
引き込めるとは限りません。
調整区域の一戸建てには井戸水を利用している家もあります。
もしも、上水道を引き込むとしたら1mあたりの工事費はいくらなのか、
そして、何メーターの引き込み工事をする必要があるのかを
調査しておく必要があります。
物件価格が激安でも、水道の引込工事費が莫大な金額では
買う意味がないということになりかねません。
井戸水は毎年保健所の検査を受ける必要がありますし、
滅菌器などの設置も必要になってきます。
調整区域で排水先がない時、浸透桝は吸い込まなくなるリスクがある
調整区域の土地で、排水先として、道路の側溝や
川がない場合もあります。
排水先がない場合には、広い敷地を利用して、
浸透桝というものを設置して、
敷地内に排水を浸透させる方式で
水洗トイレを利用するというものです。
しかし、いずれ、浸透桝は吸い込まなくなってしまうと、
敷地内の別の場所に再度浸透桝を設置し直す工事が必要になります。
そして、最終的に、別の場所に浸透桝を設置する場所がなくなったり、
最初から別の場所がないような場合には、
自宅で洗濯機や水道、トイレ、洗面所から流れる排水は
浸透しないために、
敷地が水浸しになるというわけです。
もしも、下水管が前面道路に来ているなら、
下水道管へ排水をするように工事をすればいいのですが、
基本的に調整区域では、
下水道が整備されていません。
実際に、浸透桝が吸い込まなくなってしまい、
敷地内に排水が流れ出している家を見たことがあります。
浄化槽の排水先がない家はいずれ生活できなくなる
リスクがあるのです。
最近では、排水を蒸発させる方式などで
新たな方式も生まれている点は救いではあります。
調整区域では農地が周囲にあるので、悪臭のリスクも
調整区域では周囲に畑や田が多く残っているので、
季節ごとに肥料をまいたり、除草剤を上空から
散布したりすることがあります。
家を見学した時には臭わなかったけれども、
住み始めてみると、
時々、農作業に伴う悪臭に気がついてしまうことになります。
また、調整区域内では、豚舎や牛舎、鶏小屋などがまだ残っているために、
動物が餌を食べる時間である夕方を中心に、
強烈なニオイが流れてくるリスクもあります。
市街化区域では牛舎や豚舎はありえないですけれども、
調整区域は農林水産業を営む人が住む場所であるので、
どうしても家畜の存在がでてきます。
白蟻の被害リスクが高い点にも注意したい
白蟻の被害は調整区域でも市街化区域でも特に
どちらかが多いとはいいきれません。
しかし、傾向として、調整区域には田や畑といった
農地が多いです。
田は道路よりも低いところに
立地していることが多いです。
土地の高低差を考えてみると、田があるところは
周囲よりも土地が低いので、水を引きやすくなっているというわけです。
もともと、田や畑であった土地を宅地に転用して、
家を建てたような場所も、
比較的土地は低い場所にあって、
湿気が多い傾向は否定出来ないというわけです。
市街化区域でも白蟻の被害が多い場所というのは
低地にある場所で、調整区域に近い場所であったりします。
その意味で、調整区域の土地を売却したり、
購入するときには、床下が白蟻の被害にあっていないか
よくチェックするようにしましょう。
万が一、床下に白蟻の害がある家の場合には、
雨漏りがしてくると、
あっという間に、白蟻によって、
柱まで食われていしまうリスクも抱えています。
ちなみに、白蟻は寒い地域では生息できないので、
雪もふらない温暖で温かい地域の調整区域は
特に注意ということになります。
シロアリが出てしまった場合や、防蟻対策をしようとする方は、
害虫駆除対策をする業者は
ボッタクリ業者が多いので、
イエコマ と比較してみてください。
家の傾きにも注意
家が傾くのは盛土をした土地に多くみられます。
ですから市街化区域でも調整区域でも起こりえます。
しかし、調整区域では畑や田を宅地造成して、
家を建てることが多くなるので
地盤が悪い土地が多くなります。
その意味で、調整区域では、
家が傾いていないかよく確認する必要があります。
また、周囲が山林が多い場所も調整区域になていることがあります。
山林は基本的に地盤が強いのですが、
斜面に盛土をして宅地造成した場合には
傾きが生じることがあるので注意が必要です。
法面や崖の危険性に注意
市街化区域は平坦地が多いですけれども、
山奥の調整区域では
法面が多い住宅もあります。
また、敷地の裏手や手前が崖になっていることも
あります。
大雨ではがけ崩れになるリスクがあるので、
法面などの亀裂には注意をする必要があります。
参考記事⇒マイホーム決定時 妥協点が「がけ崩れしやすい場所」はあり?災害後の焦りに注意!
調整区域の家を売る時のリスクを減らすには不動産のプロを選ぶこと
調整区域の家を売るのは家を建築するわけではないので、
簡単そうに見えます。
しかし、本来は説明しておかないと後で、
買主から提訴されてしまうリスクが存在します。
売却を依頼する業者にしても取引件数が多い
本当の不動産のプロを選ぶ必要があるのです。
アパートを仲介専門の不動産会社では、売買のリスクを
コントロールできませんし、
多くの不動産会社は意外にも、
経験値や知識量が十分ではないという実情もあります。
大手は取引実績や経験値が高い企業が多い傾向があって
一つの目安にはなりますが、
地元の中小不動産会社にも田舎物件の取り扱いについて精通している
実力がある会社も含まれます。
どこがいいかがわからないときは、
タウンライフ不動産売買を活用して 不動産会社の提案を比較することで、
査定額が高い安いだけではなく、
スキルがあって、相性のいい不動産会社が見つかるかもしれません。