耐震診断なしの旧耐震基準 賃貸アパートは大家に民法717条適用の損害賠償リスク!
このところ熊本地震の災害があって、南海トラフ巨大地震や
首都直下地震への危機感が高まっています。
大地震が発生したときに耐震診断を受けずに、
旧耐震基準の築年数の古い自宅が倒壊するのは自己責任ですから、
仕方ないです。
一方で、耐震診断もしないで、賃貸アパートを経営する
大家さんには大地震で入居者が被災した時には
アパートの所有者としての民法717条によって損害賠償をする
リスクがあるので注意が必要です。
熊本地震ではアパートが倒壊!旧耐震基準物件で耐震診断をしているかどうか今後は注意を
南阿蘇村では東海大学の学生アパートの
1階部分が潰れてしまい、入居者が下敷きになりました。
しかもつぶれたアパートは古いぶっけだけではなく、
比較的新しい物件も潰れています。
賃貸物件を探す人にとっては物件探しも
築年数などに注意する必要があるので、
⇒東海大学南阿蘇村の学生アパート探しは築年数だけではない!熊本地震後賃貸物件どこがいい?
をご参照ください。
不動産投資が公務員やサラリーマンの副業にもなっていて
ちょっとしたブームでもあります。
大家さんとしては家賃収入が入るドル箱が
アパート経営かもしれませんが、
大地震でアパートが倒壊するのは、建物についての
損害だけではなく、入居者に損害が出た場合には
入居者側から提訴されるリスクがあるので
倒壊するリスクが高いと思われる築年数が古い物件については
耐震診断を受けて耐震リフォームをする必要があります。
耐震リフォームのポイントについては
⇒熊本地震後 耐震リフォームの方法は?ブルーシートの中古住宅 注意点は雨漏りとシロアリ!
をご参照ください。
仮に、大地震でアパートが倒壊しても、耐震診断を受けていて、
かつ、耐震リフォームをしていれば、
最悪、提訴されて損害賠償をする危険性からは
逃れられます。
耐震診断をする風潮が少なかった阪神大震災でも、旧耐震基準のアパート倒壊で大家さんは提訴されている!
阪神大震災でもアパートの倒壊があって、旧耐震基準のアパートであったため
大家さんに対して、被害をうけた4名の入居者の家族が
4億円の損害賠償請求をだして、判決では
1億2883万円の損賠外賠償請求を命じた事例があります。
現在、旧耐震基準(1981年6月より前の建築確認)の物件には
阪神大震災の教訓で耐震診断をするような動きがでています。
耐震診断を積極的に行う様にアナウンスされていなかった
阪神大震災当時でも大家さんは損害賠償請求
されている点に注意をしましょう。
賃貸アパート大家さんは民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者責任)を守る必要がある
阪神大震災が起きたのはアパートの大家さんの責任ではありません。
しかし、賃貸アパートの大家さんは民法717条(所有者責任)を
守る必要があるのです。
条文は次の通りです。
第717条
1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、
その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、
所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、
占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
出典:民法第717条
大地震で倒壊したアパートが旧耐震基準の古いアパートで、
耐震診断を行っておらず、
耐震リフォームも実施していなければ、
717条の条文にあるように、
「土地の工作物(=アパート)の設置または保存に、つまりに瑕疵があった」
と判断されてしまいます。
アパートだけではなく、自宅を貸家として貸し出すときは
1981年以前に建築された物件については
賃貸を控えるか、耐震診断の上、耐震リフォームを
する必要があります。
熊本地震を教訓に南海トラフ地震、首都直下地震に大家がリスクを排除する方法は?
大家さんがアパートや貸家を賃貸する場合は、
717条の適用によって損害賠償請求を受けるリスクが
高いので排除する方法をまとめます。
- 耐震診断と耐震リフォームを実施する
- 所有物件は売却する
- 耐震強度を備えた新築に建て替える(退去をお願いする必要あり)
などの方法があります。
参考記事⇒南阿蘇村 東海大学農学部 学生アパート全壊は大家さんのリスク
入居者がいない場合には、入居者への損害賠償リスクはないですが、
老朽化したアパートの場合には塀が倒壊して
被害を受けた人からは提訴されるリスクは残るので
何らかの対策をした方が望ましいです。