作り置きのカレーにウェルシュ菌による食中毒の危険性?予防法は?
カレーは作り置きができるので、
とても重宝するというのが
常識になっています。
寝かせると美味しいともいいますけれども、
2017年3月に作り置きのカレーを食べて
集団食中毒が発生しています。
食中毒の原因菌はウェルシュ菌という
微生物です。
どうしたら作り置きのカレーで
食中毒という危険性を予防できるのでしょうか?
作り置きのカレーに集団食中毒の危険性があった事例
複数の患者の便からウェルシュ菌が検出され、保健所は、
8日昼の「年長組を送る会」で食べたカレーが原因と断定。
カレーは、7日午前11時ごろから、教職員と園児が職員室で、
二つの大きな鍋を使って作り、そのままの状態で、
一晩常温で保存。食べる直前に再加熱したという。
カレーを作ると言う作業は、長時間、鍋を熱して、
具を煮込むわけですから、
細菌が入っていたとしても死滅してしまうだろうというのが
常識でした。
しかし、検出されたウェルシュ菌は
熱に強いという性質がありました。
食中毒の原因菌=ウェルシュ菌は熱に強い
ウェルシュ菌は芽胞(がほう)という殻につつまれている場合があり、
芽胞と言うからが熱から菌を守り、
カレーの温度が徐々に下がってきて、55度以下になった段階で、
芽胞から出てきたウェルシュ菌が殻を破って
繁殖するというメカニズムです。
つまり、作り置きしたカレーというのは、
春の温かい常温で保存された場合には、
細菌が繁殖しやすい温度と栄養分が
たっぷりとある培地のようなものになってしまいます。
逆に、真冬で寒い時期で部屋が冷蔵庫のように
寒ければ、食中毒にはならなかったかもしれません。
作り置きのカレーでウェルシュ菌の繁殖を予防する対策とは?
「林修のいまでしょ!講座」でも、作りおきのカレーの危険性が
講義されました。
講師は、関崎勉 東京大学教授です。
関崎教授によるとウェルシュ菌は酸素に弱く、
気温が10度以下では、活動がとまるので、
(酸素と触れるように)よくカレーをかき混ぜてから、
底の浅い容器に小分けして、
冷蔵庫で急速に温度を下げて保存することで、
細菌の繁殖が抑えられると紹介されました。
ウェルシュ菌について
関崎教授はウェルシュ菌(学名:Clostridium perfringens)
が酸素に弱いというふうにわかりやすく説明してくれました。
微生物には、嫌気性と呼ばれる酸素に弱い微生物がいて、
ウェルシュ菌はその1種であるということになります。
逆に言えば、ウェルシュ菌のような嫌気性微生物が
ジャガイモに付着している理由は、
土の中という酸素が極めて少ない状況でしか
生存できないということです。
ジャガイモだけではなく、土の中から掘り出す野菜類については、
栄養分が豊富である反面、
ウェルシュ菌のような熱に強く、食中毒を引き起こす危険性もあるので
注意が必要です。
ただし、一般的には嫌気性微生物は酸素に触れると死滅するので、
本来なら採取するのが難しいという性質の微生物でもあります。
ウェルシュ菌の学名はClostridium perfringensと表現されています。
一般的に「Clostridium」(クロストリジウム)という微生物は、
土や泥の中に多く存在していて、
有機物の分解に役立っています。
あらゆる生物は最後は土に帰るといいますが、
作り置きカレーで食中毒を起こしたような
微生物によって分解されていることが
わかります。