熊本地震で瓦屋根の築年数が古い物件が倒壊!2000年以降の物件被害が少なかった!
熊本地震の被害状況を映像で見ると
倒壊の仕方はいろいろなのですが、
築年数が古くて瓦屋根の物件が多いのが
1つの特徴でした。
政府の調査結果では、
- 1981年以前の旧耐震基準の木造住宅
- 1981年以降の新耐震基準住宅
- 2000年以降の新耐震基準の物件
の3つにわけて、調査結果を示しています。
熊本地震級の地震でも建築基準法上は倒壊率が低い、
耐震強度が強い中古マイホームの見つけ方についてみていきます。
熊本地震でなぜ瓦屋根の住宅の倒壊が目立つのか?重いほど地震には弱い傾向が
熊本地震で瓦屋根の住宅が多く倒壊しているのを見ると、
屋根の重さが家の重さを増してしまい、
倒壊しやすくしている現実がわかります。
余震で崩れる住宅「もうだめ、撤収だ」 熊本
街灯は消え、車の行き来がなければほとんど真っ暗の状態。歩道には大小の瓦が散らばる。古い瓦屋根の家屋は1階部分がつぶれ屋根が地上に横たわる。プレハブの工場の壁が大きくゆがみ、ブロック塀は波打 pic.twitter.com/hzmKxt3Z2i— ken (@ken04095288) 2016年4月15日
実は建築基準法には壁量計算というものがあります。
家を支える壁の長さの合計を必要最低限計算上
満たす必要があるという考え方です。
(地震に必要な壁量)=(各階の床面積)×(壁係数)
という計算式があって、
結論から言えば、瓦屋根の様に重たい住宅では
地震に必要な壁量が多く必要になります。
この考え方は2000年(平成12年)に改正された建築基準法上の
新たな耐震性を示す基準です。
熊本地震で瓦屋根の古い築年数の家が倒壊しているのは、
重たい家であるにも関わらず、2000年に新たに決められた
壁量という基準を満たせていないからであると推測できます。
裏を返せば、瓦屋根ではなく、トタン屋根やスレート屋根の様に
軽い素材の屋根であれば、
古い物件でも倒壊を免れていたかもしれません。
また住宅の重さを決定するのは屋根の素材だけではなく、
外壁材などにも影響を受けます。
例えば、外壁がタイル張りで恰好がいい物件も
家の重さという意味では地震の揺れを大きく
受けてしまいます。
築年数と建築基準法の関連や耐震強度の関連は?
熊本地震で古い家の全壊が目立ちましたが、
過去の地震の影響などで
建築基準法の耐震基準が変更されてきた経緯があります。
まずは1981年(昭和56年)6月に耐震基準が
変更されました。
1981年6月以前に建築確認をうけた建物は
旧耐震基準
1981年6月より後に建築確認を受けた建物は
新耐震基準の建物として現在でも
区別しています。
瓦屋根の古い築年数の物件が全半壊するのは
1981年以前に建築された建物であった可能性が高いです。
更に、1995年1月に発生した阪神大震災を受けて
建築基準法(建設省住指発第176号)が改正されました。
具体的には
基礎の設計方法、土台の締結方法、接合部分に金具を使うこと等が
以前よりも細かく指示されました。
そして旧耐震基準の建物には耐震診断をする必要性がある
という認識ができました。
2000年(平成12年)には更に建築基準法が改正されて
地盤調査が必須になりました。
※建設省告示1352号 建設省告示1460号
地盤は軟弱地盤であれば地震の揺れが大きくなります。
液状化現象が起きるリスクも高いです。
軟弱地盤であれば地盤改良工事を行う必要性が
2000年以降にでてきています。
2001年には耐震等級という考え方も生まれています。
以上のような建築基準法の推移を見てみても、
築年数と倒壊するリスクの度合いが
関連することが理解できます。
熊本地震でも倒壊しない建築基準法を踏まえてのマイホームの選び方は?
仮にマイホームを中古物件で探すことを考えると、
単純に建築基準法上の経緯からでは
2000年以降に建築された住宅が
望ましいかもしれません。
最低限では新耐震基準を満たしている
物件であればよいでしょう。
また、2000年に壁量計算という考え方が導入されました。
その意味では1999年以前の物件を検討するときには
家の重さが軽いのか重いのかにも注目です。
屋根が瓦なのかスレートやトタン屋根の違いなど。
地盤についてもできる限り軟弱地盤ではないほうがよいでしょう。
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ただし、今では制振装置などが開発されていますから、
リフォームによって古い物件でも
耐震性を高めることは可能です。
2000年以降の木造住宅は倒壊率が低かった!
政府は木造住宅の被害状況を調べています。
結果は次のようになります。
1 新耐震以前の建築確認の木造住宅、店舗併用の 2 階建て木造住宅の倒壊が多数確認された。
(悉皆調査エリアでは新耐震以前の木造は 702 棟あり、そのうち 225 棟(32.1%)が倒壊)2 新耐震以降の建築確認の木造の倒壊(ここでは大破を除く)が
99 棟確認された。
筋かい端部が釘打ち程度の
軽微な接合方法であったものが多く確認された
(悉皆調査エリアでは新耐震以降の木造は 1042 棟あり、そのうち 80 棟(32.1%)が倒壊)
3 2000 年の建築基準法改正以降の建築確認の木造の倒壊が 7 棟確認された。
(悉皆調査エリアでは 2000 年改正以降の木造は 242 棟あり、そのうち 7 棟(2.9%)が倒壊)出典:木造の被害状況報告
政府による報告から見てもわかる通り、2000年以降の物件については、
接合部分についても金物を使うことを建築基準法を改正して、
強化しているので被害が少ない結果になったことがわかります。
これから家を中古で購入するときに、
耐震性を優先する考え方なら、
2000年以降の物件を選択するというのも
一つの選び方です。
勿論、物件選びの基準は人それぞれですので、
一つの基準として参考にしてください。